今後の訪日市場において人口の約15%がムスリムであるインドも有望な潜在市場と見られています。ムスリム比率だけを見ると15%と大きくはありませんが、そもそもの人口が10億を超えるインドでのムスリム人口は1億7千万人以上と言われ、これは全世界で見てもインドネシアに次ぐ大きな数字です。

そして正確な数は分かりませんが、インド政府の発表によると国民の3割以上がベジタリアンであると言われています。

インドだけで3億人以上、台湾や中国にも「素食家」と呼ばれる多くの菜食者がおり、欧米にも多くの菜食主義者が居ることを考えると、今後の訪日外客の受入れに際してはムスリムのハラールの原則に加えて、いわゆる「ベジタリアン」への対応も視野に入れ対応していく必要があるのではないかと考えます。

ベジタリアン

国際ベジタリアン連合及び日本ベジタリアン協会が定義するベジタリアンの分類を参照

    

上記の大まかな分類以外にもベジタリアンには多様性があります。

例えば植物を殺さない(絶やさない)ことを前提に木の実やフルーツだけを摂るフルータリアン(Fruitarian)や五葷(ごくん)というニンニク・ニラ・ネギ・らっきょう・玉ねぎのような臭いの強い野菜も摂らないオリエンタル・ベジタリアン(Oriental-Vegetarian)と言われる仏教思想に由来する菜食主義もあります。

健康志向や環境問題、動物愛護の観点だけではなく、ベジタリアンの中にはムスリムの食の禁忌と同様に宗教的な背景を抱えた方が居ます。特にインドにおいてヒンズー教では牛は神聖なものであるため決して口にしませんし、ジャイナ教に至っては虫を殺すことや植物殺に繋がる球根野菜の使用も避けられます。また大乗仏教で肉食が禁じられるのは日本人にとっても馴染みのあることです。

メニューにピクトグラム(絵文字)を表示して使用食材を明確にすることで様々な文化的・宗教的背景を持つ訪日外客の皆様が少しでも安心して滞在中の食事を召し上がって頂けるのではないでしょうか。そうすることで対ムスリムのみではなく、その他多くの多様な訪日外客に同時に対応することが可能になります。

世界に誇れる食文化を持つ日本であるからこそ、その食を安心して選んで頂けるように提供するという取り組みも重要です。

世界は広く実に様々な価値観がありますが、それを理解し受け入れていくことが今後の課題であると考えます。

タイ・バンコクのスワンナプーム国際空港内のレストランでは、ハラールの表示と共にベジタリアン対応もしているという案内がありました。2015年度タイの国際観光客到着数は世界11位で2988万人と、およそ3000万人の集客でした。観光立国として学ぶべきところは多いです。

    

ベジタリアン人口の多いインドでは、ベジタリアン製品には緑色のマークが、そしてノンベジタリアン製品には茶色のマークが表示されることにより、消費者が安心して商品を購入できるシステムが2001年より導入されています。今後インドからの訪日も間違いなく増加するため、ムスリムだけでなくベジタリアン等にも対応することが必要となってきます。

    

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