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​イスラム圏でのムスリム対応状況

日本国内においても近年一部空港やホテルでは、ムスリムの受入れ対応が始まりました。成田・羽田や関空などでは礼拝のためのスペースが設けられたり、ムスリムが口にすることが出来る食事を提供するレストランが営業しています。またホテルでは礼拝の方向がわかる目印「キブラ」を設置する施設なども見られます。

しかし世界一ムスリムとの距離があるといっても過言ではない日本と、古くからムスリムとの関わりが強かった他国とではまだまだ対応のレベルは雲泥の差です。

ここでは他国でのムスリム対応の現状を紹介させて頂き、少しでも皆様のご理解の助けになればと思います。

▼インドネシアのホテルでの対応状況

■ボロブドゥールホテル・ジャカルタ(インドネシア)

世界最大(2億人以上)のムスリムを抱えるインドネシアの首都ジャカルタの歴史ある5つ星ホテルです。

意識して過ごさなければ、ここがイスラム圏のホテルであるということに気が付かずにチェックアウトしてしまうかもしれません。

電話やメモが置いてある、よくホテルに見られるベッドサイドのテーブル。このテーブルに注目すると見慣れない「KIBLAT」と書かれた矢印があります。このキブラは聖地メッカの方向を表すもので、イスラム圏のホテルではほぼどこでも見つけられます。こちらの国際的なホテルではおそらく他宗教のお客様への配慮もあり、それほど目立たないように設置されていましたが、ホテルによっては客室の天井に目立つようにシールが貼ってあったり、デスクの引き出しの中に設置されているといった場合もあります。

ボロブドゥールホテルではハウスキーパーに連絡すると礼拝マットの貸出しにも対応してくれます。客室内に元々置いてあるホテルもよく見られます。

日本では備品としてフロントで貸出しするといった対応も可能であると考えられます。

ロビーフロアの奥に進んで行くと「MUSHOLLA」という見慣れない案内看板がありました。案内に従って進んで行くと男女別のトイレとは異なる部屋があります。これが「礼拝所」です。

1日5回の礼拝を全てモスクへ出向いて行うことは現実的には非常に困難です。自宅では礼拝マットを使用しての礼拝が可能です。またイスラム圏ではホテルだけではなく、職場・学校・ショッピングセンターといった場所にも簡易的な礼拝所が設けられているので、ムスリムは滞りなく5回の礼拝を行うことが出来るのです。

 

通常礼拝所・モスクには男女別の水場があり、礼拝前に小浄・ウドゥー(お清め)を行うことが可能です。

小浄では教えに従い、両手足および頭部の洗浄を行います。

礼拝スペースは基本的には男女別です。既に礼拝マットが敷いてある場合は、当然メッカに向いてマットが敷かれているためキブラの矢印を探す必要はありません。

また礼拝所はホテルなどでは静寂さが保たれ、アルコールを提供するバーなどからは離れている場所であることが望ましいです。

礼拝の時間は太陽の動きに準じているため、日々変わります。礼拝時刻を把握し情報提供する準備があるということも、ムスリム受入れには必要なことです。

礼拝室の様子を見て頂いてわかるように、ホテルなどの施設に簡易的な礼拝のスペースを設置することは、さほど難しいことではありません。礼拝前のお清め(ウドゥ)をどうするか考えなければいけませんが、礼拝用のマットを数枚敷くだけで一先ず礼拝の環境は整います。会議室などで使っている多目的スペースを一時的に礼拝所として使用することも可能です。

朝食はブッフェ(バイキング)式で

好きなものを選んで頂くことが出来る

のですが、こちらのホテルで提供され

る食事はハラール(ムスリムが口にする

ことが許されたもの)であることが

基本でした。わずかに2品、ポークソーセージとベーコンのみがノンハラールの食品であり、それはムスリムに分かりやすいようにPORK STATION (NON HALAL)という表記がありました。

 

ムスリム人口の多いインドネシアでは飲食店等でハラールであることが前提なので、ハラールではない(豚肉を提供している)場合に案内がされることが多いようです。

▼マレーシアの国際空港での対応状況

■KLIA2・クアラルンプール国際空港 LCC専用ターミナル(マレーシア)

2014年5月に開業したKLIA2はLCC(格安航空会社)専用のターミナルです。アジア周辺に航路の拡大を果たしたエアアジアの本拠地として、最新の設備を兼ね備えた立派なターミナルとして機能しています。

2013年度には2,571万人の外国人を受入れたマレーシアの首都クアラルンプールは、世界中から人が集まる国際都市です。

2,995万人の人口のうちおよそ6割がムスリムでイスラム教を国教とするマレーシアは近隣国だけでなく中東などのイスラム圏からの観光客も多く訪れます。

その国際空港内を注意して見ると、モスクとその上にイスラムの象徴である月と星が描かれた礼拝所を示す案内が各所に見られます。空港では礼拝所はトイレの近くに設置されています。

礼拝所に必ず併設されているのが小浄(ウドゥー)を行うための水場です。

棚に礼拝マットが置いてあるので、キブラ(メッカの方向を示すもの)の矢印に従ってマットを敷きます。

キブラは基本的にには左の画像のように天井に設置されている場合が多く見られます。

その他備品としては棚には啓典クルアーンが置かれていました。

また女性の礼拝所には、礼拝用の衣装も用意されています。

ちなみにイスラム法(シャリーア)において窃盗には厳罰が下されますので、これらの備品が持ち去られることは珍しいと考えることがイスラム圏では自然です。

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